父親に見せたい「ブレイブ・ストーリー」

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時間ができたら観ようと思い、テレビ放映される映画を日頃から録りためています。
ほとんどが、観る事ができないのですけどね。1日24時間うち2時間程度をそのような時間に当てる余裕が、なかなかありません。

この年末年始には、せめて何本かはと思い、まず選んだのがアニメ映画「ブレイブ・ストーリー」でした。
宮部みゆき原作の小説を、かのGONZOがアニメ化したものです。
声優陣も「これでもか!」と言うほど俳優やアイドルの使いまくり。お笑いのインパルスまで出ているとは……スクリーンの声となってしまえば、どれも普通。やはり本職の声優にまかせた方がいいのでは?
それはともあれ、さすがGONZO作品。その作画のクオリティーの高さには、ただただ驚かされました。しかし、この内容でここまでやるか!とも思いましたけどね。

原作を読んでいないので分かりませんが、状況説明は全くなく、あっという間に異空間での旅に展開していく乱暴な描き方がいいのか悪いのか。
なるほど、何もとりえがない主人公が、家庭の悲劇を通して成長してゆく内容であることは、前半で十分分かりますし、最後の女神とのシーンで、それがハッキリするので、その点は分かりやすいと言えばそうだ。
「自分の願いさえ達成できれば、自分さえよければ、他人はどうなってもいい」という行動が悲劇を生むという流れは、まさに仏教の「自利利他」と言えるでしょう。
「自分にふりかかる運命は、良いことばかりではない、悪いことも当然ある。それを真正面に受け入れる」という主人公の最後の誓いも、何やら「釈尊とキサーゴータミー」の話を思い出してしまいました。

主人公の両親の離婚や心中、母親の事故……このアニメ作品中のことだけではなく、そのような親の都合に巻き込まれて悲しい思いをする子供たちは、確かに多くいることでしょう。
作品中盤に、離婚して家を出て行った父親が、自分の思いを語るシーンがあります。
父親が言うには「自分はやりたいことを我慢して、仕事一途にやってきたが誰も認めてくれない。新車を買いたい思いも我慢して家族のために頑張ってきた。しかしそれは、自分の臨んだ人生ではないので、離婚した」といった内容のことを語ります。
父親は、それっきり出てこないのですが、主人公の少年が最後に得る結論「人生における幸せも不幸せも受け入れて、自分の欲望を満たすことを優先せずに、他人の幸せを願う」は、まさに離婚した父親に気づかせねばならないことではないか、と私は思いました。

悲劇を乗り越えるテーマは感動的ですが、それが「家庭の悲劇」となると、子供相手にはやはり重い。
どちらかと言えば、子供を持つ親に観てもらった方がいい。
そんな「ブレイブ・ストーリー」でした。

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